ツツガムシ病
ツツガムシリケッチア
概要
診療科感染症内科学
分類および外部参照情報
ICD-10A75.3
ツツガムシ病(ツツガムシびょう、恙虫病)は、ツツガムシリケッチア(Orientia tsutsugamushi) への感染によって引き起こされる人獣共通感染症の1つ。病原体を保有するツツガムシ(ダニ目ツツガムシ科のダニ)によって媒介される[1][2]。感染症法の4類感染症に指定されている[2]。 日本紅斑熱と症状が酷似している。「古典型」と「新型」の2型に分類され[1]、かつての日本では古典型ツツガムシ病は東北・北陸地方(新潟県、山形県、秋田県など)の河川の下流域で夏季に発生する風土病であった[3]。伊豆七島の「七島熱」、房総半島の「二十日熱」、高知の「ほっぱん」などの原因不明の風土病は、タテツツガムシやフトゲツツガムシの媒介する一種のツツガムシ病であることがわかっている[3]。1945年以降新型ツツガムシ病の出現により北海道を除く地域から患者が報告されている。また、沖縄県での発生は報告されていなかったが、2008年に患者が報告され[4][5]、離島[6]を含め全国的に発生が報告されている[2]。 日本国外では、南アジア、東南アジア[† 1]、オーストラリア北部、朝鮮半島、カムチャッカ半島など広く存在する[8]。 ツツガムシの幼虫は0.2ミリほどの大きさで、肉眼で確認することが難しく[7]、アカツツガムシ以外に吸着された場合には、ほとんど痛みや痒みを感じない[9]。刺された覚えのない発病者も多く、症状の初期はインフルエンザ様を示すこともあり、医師がリケッチア感染症を疑い、早期に確定診断することが重要になる。「薮チフス」とも呼ばれるが、病原菌は腸チフスやパラチフスを含むサルモネラ属ではなく、発疹チフスを含むリケッチア科に含まれる。 媒介するツツガムシの種により「古典型」と「新型」に分類されている。2つの型で発生時期が違うのは、それぞれの活動時期の違いによる。 アカツツガムシ(Leptotrombidium akamusi タテツツガムシ(L.scutellare 1948年(昭和23年)、富士山麓で演習中のアメリカ軍兵士が熱病に倒れ、診察の結果、タテツツガムシ媒介によるツツガムシ病であることがわかった[7]。この一件をきっかけにアカツツガムシ以外のツツガムシが媒介して発症するものが新型ツツガムシ病(非アカツツガムシ媒介性ツツガムシ病)として注目されるようになり、横浜市や房総半島、東京都伊豆七島、四国地方などで原因不明とされていた熱病がこのタイプに該当することが判明した[10]。新型ツツガムシ病は北海道を除く全国で発生が確認されている。 ツツガムシは日本だけで80種類以上が生息しているが、リケッチアを保有し、かつヒトに吸着する性質を有するものはそのうち数種類である[11]。 ツツガムシは土壌昆虫の卵などを捕食する捕食性のダニであり、動物に吸着することはない[11][12]が、卵から孵化した直後の第1期の幼生である幼虫のみ[13]が、生涯で1度だけネズミなどの温血動物の皮膚に吸着し、組織液や崩壊組織などを摂取する(血液は吸わない[14])。
概要
分類
古典型ツツガムシ病
新型ツツガムシ病
媒介者